父をめぐる旅 中村正義の生涯@東京都写真美術館
2013年1月20日(日)
父をめぐる旅 異才の日本画家・中村正義の生涯
東京都写真美術館
東京都写真美術館にて、現在公開中の映画「父をめぐる旅 異才の日本画家・中村正義の生涯」を見てきた。
昨年2月に、練馬区立美術館で「中村正義展」を見た時に、この映画のPRビデオが流れていて、ただその時はまだ製作中となっていました。これは公開されたら是非みたいと思っていたので、早速見にいってきた。
この映画の主人公は、中村正義の長女である中村倫子さん。彼女が、父・正義と親交の深かった人達やゆかりのある人達を訪ね、話を聴きながら正義の人生を追いかけてゆくといったものです。
岳陵塾に入って日展で頭角を現し、後に日展の審査員まで務めながら、中村岳陵との確執から岳陵塾をやめ、日展を脱退し、美術界から事実上締め出された状態に追いやられながらも、自分の信じた道を進んでいきます。今と違ってまだ画廊や美術館がそんなに多くない時代ですから、活動する上での困難は想像するに難くない。この状態は、中村岳陵が死ぬまで続いたそうで、映画の中では「8年に及ぶ中村岳陵からの迫害」と表現されていました。
そんな中で、銀座三越で開かれた「中村正義展」。周囲の大反対を押し切って、この展覧会を企画した女性の方のインタビューも流れていましたが、この人凄いわ。そしてもう一人凄いのが中村正義本人。この時出品したのが「太陽と月のシリーズ」。もう、どうだと言わんばかりの真っ向勝負。この作品は名古屋市美術館と練馬区立美術館と両方で見ましたけど、光の加減が絶妙で思わず溜め息の出る美しさでした。
時代と闘い、権力と闘い続けた52年の画家人生。この映画を見た後で、図録を読み返してみると、作品に対しての感想がまた変わってきます。
「僕はね、あたり前の事を、あたり前に言ってるだけだよ」
シンプルだからこそ難しい。いつの時代も変わらない。
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