高島野十郎展
没後30年高島野十郎展
2006年6月10日(土)~7月17日(月・祝)
三鷹市美術ギャラリー
ちょっと前の日曜日に、三鷹市美術ギャラリーで「没後30年高島野十郎展」を見てきた。高島野十郎と言う名前を知ったのは、テレビ東京で放送されている「美の巨人たち」という番組。その番組を見るまでは、不勉強のため名前さえも知らなかった。その番組で紹介された作品が印象的で、今回の展覧会行ってきました。
今回の展覧会では、「青年時代」「欧州にて」「慈悲としての写実」「光を蒔く人」の4つに分類されて、作品が展示されている。
まず最初は「青年時代」のコーナー。
ここでは、「傷を負った自画像」が印象的。体の数ヶ所から血を流し、何ともうつろな表情に描かれている。この作品を描いてる時は、どんな心理状態で描いているんだろうか、そこが知りたい。
次のコーナーが「欧州にて」。
昭和4年39才の時に渡欧して、昭和8年に帰国するまでの、この期間に描かれた作品。「イタリアの海 キオッジア漁村」「梨の花」「ノートルダムとモンターニュ通」等が印象的。
次のコーナーが「慈悲としての写実」。
生涯を通して写実に徹した画家と言われるだけあって、このコーナーの充実振りは凄い。「筑後川遠望」「山の秋」「カンナとコスモス」、この3点ともに遠近感とでも言うんでしょうか、目の前の絵柄とバックの絵柄の描き方が面白い、こういの好きです。
また「朝霧」は、そのタイトルの通り良い雰囲気で描かれています。このしっとりとした感じは凄い。「古池」も、水が枯れて、水際だった所に草生えてきている感じがよく描かれてます。何か凄すぎ。
「雨 法隆寺塔」も、雨の降りしきる様子が素晴らしく描かれているし、「積る」も、ほんとに雪が深々と降り積もる情景が描き出されている。この2点の臨場感は凄い。何か凄いばっかりだなあ、ボキャブラリーが乏しい。
他にも「山中孤堂」「菜の花」「林径秋色」「林辺太陽」「雪晴れ」「菊の花」「からすうり」等々挙げていったらきりがないぐらい、素晴らしい作品が多い。
そして最後のコーナー「光を蒔く人」。
このタイトルは、和楽器奏者の林英哲氏が、高島野十郎をテーマにして発表された組曲名だそうです。このコーナーでは、月をテーマにした一連の作品と蝋燭をテーマにした一連の作品が展示されている。これらのテーマに関しての、作者本人の説明はないようなので、どのような気持ちで、意味合いで描かれたものなのかと言うことはわからない。ただ画家というよりも、一人の人間として根本的な部分がこれらの一連の作品に託されているような気がします。まあ、この部分に関しては、本人のみが知るというところでしょう。
今回はしっかりした良い展覧会でした、お客さんも結構入っていたし。そういう意味ではここと、練馬、目黒、府中の美術館はあなどれません。
| 固定リンク
「展覧会」カテゴリの記事
- 2020年 展覧会ベスト5(2020.12.31)
- 2019年 展覧会ベスト10(2019.12.30)
- 2018年 展覧会ベスト10(2018.12.30)
- 横山操展 〜アトリエより〜(2018.10.15)
- 河井寛次郎展(2018.09.16)
コメント