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安井曾太郎展

歿後50年安井曾太郎展
2005年6月11日(土)~7月24日(日)
茨城県近代美術館

Yasuisotarou常磐線にゆられて、水戸にある茨城県近代美術館に、「歿後50年安井曾太郎展」を見に行ってきました。今日が最終日、相変わらずの終了間際の鑑賞です。

今回は、歿後50年を記念しての大規模な展覧会であり、4つ分類されて作品が展示されています。

Ⅰ.帰国まで(1903年~1914年)
ここには、ヨーロッパに渡る前の作品が3点展示されていて、そのうち2点は自画像ですが、もう1点が「栗田口風景」という作品で、これとヨーロッパに渡って数年後に描かれた、「森の中」や「フランス風景」と比べて見ると、わずか数年のうちに描き方が大きく変わっていて面白い。やっぱり吸収する物の量も多いし、スピードも早い。あと「足を洗う女」も、良い雰囲気出していて良いです。

Ⅱ.模索の時代(1915年~1928年)
この時代、ヨーロッパ絵画のやり方に日本的なモチーフを取り入れていこうと、試行錯誤を繰り返していた時代のようです。「孟宗藪」や「京都郊外(柿)」は、その後の作品につながって行くような良い感じの作品です。

Ⅲ.安井様式の成立(1929年~1935年)
「座像」。この作品で安井様式が確立されたと言われています。さらに「婦人像」「女の顔」も同じ女性がモデルです。この着物の色使いは大胆で、迫力があって良いです。ところで安井様式というのは、「鮮やかな色彩に、白や黒を併用して強い対照を持ち込み、同時に大胆な省略と強調とで形態をデフォルメするもので、それぞれの色面は、色彩と動勢によって、共鳴し明快で生き生きとした印象をもたらす。油彩でありながら「筆を揮った」という表現の似合う画面」だそうです。そして、この文章を読んでから「外房風景」を見ると、より理解が深まるという気がします。一番手前の木々と、海沿いに面した家屋や階段に当たる日の強さ、これを白と黒を使って、うまくコントラスト出してます。また海の荒々しさもよく描かれていると思う。正直今日までそんなに凄いのかと、ちょっと疑問もあったんですけど、実際に見て納得いたしました。やっぱり実物見るのは大事です、ハイ。
そして、安井の地位を不動のものにした決定打のような作品「金蓉」です。この作品、本当に良いですねえ。実はこの作品、今回の展覧会の前に、修理をしたそうです。修理前の物は、絵にひびが入って、それが白い線のようになっていたるところに出ていました。今回修理の甲斐あってきれいに直ってます。ただそのためチャイナドレスの青がちょっ強い。隣で見ていたおっちゃんは、これじゃダメだとブツブツ言ってました。でも良いです。チャイナドレスの色も良いし、全体のバランスも良い、そしてなんと言っても顔の表情が美しい。でもこういったデリケートな作品の割には、筆使いが豪快だったりします。

Ⅳ.一水会時代(1936年~1955年)
この時代には、多くの肖像画を手掛けています。どれも表情豊かで良いのですが、特に気に入ったのが、「長与又一郎博士像」と「安倍能成氏像」。どんな人かは知りませんが、何となくその人柄が伝わってくるような気がします。あと「霞沢岳」。山全体を何種類もの緑色を使って表現しています。山が生きているようで、山の息吹が聞こえてきそう。

また生涯を通じて描いた物として、花があります。数多くの「薔薇」や「カーネーション」「小菊」。これらの花は必ず花器をともなっていて、花だけを描くというよりも、花を使った一つの景色として描かれている。

今回の展覧会、想像していたよりも遥かに素晴らしく、見れて良かった。ただ最終日だったために、既に図録が完売しており買えなかったのが残念。見本で見たけど、いい図録だった。宮城県美術館、茨城県近代美術館と巡回したこの展覧会は、8月に三重県立美術館に巡回します。

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