横山操「越路十景」
横山操「越路十景」と日本画の風情
2005年2月5日(土)~3月6日(日)
山種美術館
山種美術館に、「横山操『越路十景』と日本画の風情」展を見に行く。前回の「新春の日本画」展に続き最終日の鑑賞となってしまった。今年のテーマは、山種美術館の企画展は全て見るというのがあるので、ここまでは何とかクリアー。
横山操は、新潟県出身の画家で、昭和25年にシベリア抑留から復員すると、日本画の常識を打ち破るような大画面作品を発表したりして、戦後画壇の風雲児と呼ばれた画家です。またその一方で、晩年には繊細な水墨画を描いています。
今回、彼が晩年に「瀟湘八景」をモチーフに、郷里の越後八景に越中・越前の各一景を加えて十景として、一筆一筆描き上げていった十点の連作である「越路十景」の10点全てが展示されている。水墨画として描かれた十点の作品は、「佐渡秋月」「蒲原落雁」「間瀬夕照」「弥彦晴嵐」「出雲崎晩鐘」「上越暮雪」「能生帰帆」「親不知夜雨」「立山黎明」「越前雨晴」。
「蒲原落雁」では、蒲原平野に立つ、たもの木の列を繊細に描いている。「越前雨晴」では、荒々しい波の様子や今にも泣き出しそうな空の様子、特に水気を十分に含んだ雲の様子に、晩年水墨画に取り組んだ気持ちが表れているような気がする。「親不知夜雨」では、荒々しく、激しい雨の様子がよく表現されていると思う。この10作品実に見応え十分。
また、41才のときに描いた「滝」や43才の時に描いた「海」といった大画面作品も展示されている。この「滝」の迫力たるや凄まじい。2m以上はあろうと思われる作品で、とにかく一直線に水が落ちてくる様は凄い迫力。
他にも、岡信孝「大和三山」、松尾敏男「冬晴れ」、麻田鷹司「北山杣道」等々。そして小泉淳作「奥伊豆風景」の作者の言葉が良い。引用すると「迷って悩んで自分の至らなさを知る。画いて、消して、画いて、消して、又、消して、画いて。おもうのは道がはるかに遠いということ」。
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